「道楽と職業」 著 夏目漱石 内容とレビュー

〇こんな方にオススメ

・明治期の職業・仕事論に興味のある方

〇本書のゴール

・歴史から物事をみてみる視点を養える

 こんにちは!今回は明治44年(1911年)に、夏目漱石が当時の仕事・職業論に関して述べたものをまとめた講演録「道楽と職業」の内容とレビューを記載致します。夏目漱石といえば、「心」が有名ですがこんな談話もあったのは初めて知りました。では内容となります!

目次【お好きなところからどうぞ】

職業とは、、、

 漱石はこの講演にて、明治の職業について、その種類が非常に多くなっているとしています。職業の種類が多くなってきている中で、より深く細分化されており、大学に職業学を置いてもいいのではないかと思えるくらい、多くなってきているとしています。そして、この講演にてまず、自身の考える職業について述べています。

職業とは、

人のためにするもの(他人本位のもの)

であるものとしています。

そのため、自分本位であってはならず、他人の介在にあわせなければならないので、我慢しなければならないことが増えていくとしています。また、ここでいう人のためという言葉に関して、教育するとか、導くとか徳義的、道義的な人のためではなくて、あくまで相手のご機嫌をとる程度の意味合いで良いとしています。

 世の中には徳義的にみて怪しい職業があるが、ものすごくお金を得ている職業(例えば芸者 今でいう水商売のお仕事の方たちとかですかね。)があることを挙げつつ、己のためにする仕事の分量=人のためにする仕事の分量の関係を最も表しているのは、お金だとしています。これが職業の本質だとしています。

道楽とは、、、

 漱石は道楽という言葉を、決して悪い意味だけではなくて、良い意味でも用いており、自分本位で仕事をする人のことを道楽という言葉で表現しています。道楽と職業が一致する者として、以下の職業を挙げています。

・哲学者、科学者、芸術家

 これらの人たちは、社会を考慮しない傾向があり、経済的にも苦しいし、生活が安定しないのは当たり前だから政府が保護する必要があるとしています。

道楽的職業

 この講演で、職業と道楽を述べた上で、自身を道楽者としており、偶然そうなったというふうに講演しています。また、文学が必要になることも説明しており、

・職業をする人たち

 どんどん職業が深化、細分化されていく中で、隣の人のことを全く考慮しなくなった(あるいは考慮する余裕がない)ので、各人は自分の山に立てこもっているかのようにみえると漱石は指摘しており、そういった時に文学が、芸姑をあげて酒を飲む以上の効果があると表現しています。

 つまり、開花が進めば進むほど、職業の細分化がなされ、どんどん社会的知識が狭くなっていく人が増えていることを漱石は指摘しています。

・道楽をする人たち

 いわゆる博士と呼ばれる人たちほど、社会的な常識が欠如している人はいないとしており、不具の不具の最も不具な発達を遂げたものと表現しています。

これらのことの対処法として、文学が有効に作用することを講演にて紹介しています。そして、自身の文学の仕事を、人のためにする、すなわち己を捨てて世間のご機嫌を取りえた結果として職業をしていると見るよりは、己のためにする結果、すなわち自然なる芸術的心術の結果、偶然人のためになって、気に入ってもらえた分だけの報酬が物質的に自分に反響してきたのだとみるのが本当だろうと述べています。

 ざっくりいうと、自分の好きなことやってたら、なぜか気に入ってもらえて仕事になったという感じですかね。また、もし成功していなくても、自分本位を貫いたであろうことを講演で述べています。



書評

 漱石が仕事について述べており、新鮮なイメージを持ちました。職業と道楽というわかりやすい言葉で、仕事を表現しており、好きなことしてたまたまあたっただけというのが、妙に今でも通用する変わらない価値観なのかなと思いました。今まであまり評価されてこなかった道楽者のひとたちが、やっとスポットライトがあたる時代がきたのかなという印象を持ちました。今の時代に漱石がいたらときっと喜ぶのではないでしょうか。読んでいただきありがとうございました!今回は以上となります!ではー。

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